1: 2016/07/29(金) 01:19:21.30 ID:CAP_USER9
名義人の死亡で、口座が凍結されれば預金が引き出せないどころか、公共料金などの支払いが滞ってしまう可能性も
父親が入院先で亡くなったのは昨日のことだ。臨終の枕元で泣き崩れる母親の背中をさすりつつ、鈴木ケンスケさんは「自分がしっかりしなければ」と必死に自らに言い聞かせた。さしあたって葬儀代はどうしよう。母親の生活費など、当座かかる費用もある。
「母さん、とりあえず、親父の通帳と印鑑を持って銀行に行ってきて。現金を引き出しておかなきゃ」
ところが、しばらくすると母親から携帯に連絡が入った。何やら慌てふためいている様子だ。
「ちょっと大変!お父さんのお金が引き出せないのよ。銀行の人がいうには、口座はしばらく凍結されるんですんって。ほかの口座もみんな使えないわ。いったいどうしたらいいの」
親父の口座が凍結!? 家族の大切な財布なのに!?――ケンスケさんは頭が真っ白になってしまった。
◆名義人の死を伝えてはいけない?
新聞死亡欄や人づてなどで名義人の死亡を知ると、銀行はただちに口座の凍結をおこなう。ケンスケさんのお母さんのように、家族が銀行窓口に行き、「名義人が亡くなったので、代りに私が預金を引き出したいのですが」などと言ってしまった場合も同じだ。
凍結が行われ、預金が動かせなくなると、あれこれやっかいな問題が生じることになる。生活費を引き出せないだけでなく、公共料金、家賃や駐車場代、ローンなどすべての引き落としがストップしてしまうのだ。そのまま滞納が続けば、電気やガスなどのインフラすら使えなくなる、という悲惨な事態に陥りかねない。
多額の出費を迫られることもある。斉藤ノリコさん(仮名・48歳)が慌てたのは、名義人が亡くなれば口座が凍結されることを、前もって知っていたからだった。
父親は1年前にガンを発症し入院していたが、ここのところ容態が急速に悪化している。医師から危篤を告げられたとき、混乱する頭の隅で考えたのは「医療費はどうしよう」ということだった。
なにしろ通帳や印鑑のありかもわからない。たとえ発見したとしても、口座が凍結されてしまえばお金を引き出せなくなってしまう。入院の連帯保証欄にはノリコさんの名を記入していたため、本人が支払えなければ、ノリコさん宛の請求書が届くことになる。
病院の会計係に問い合わせると、個室に入院していたこともあって、先月分だけで87万円かかっていた。今月分と合わせるといくらになるのか――。へそくりだけでは、とうてい支払い切れそうにない。
◆凍結解除に7年かかったケースも
家族が困ることをわかっていながら、銀行はなぜ口座を凍結してしまうのだろうか?
「預貯金は相続資産の一部。たとえ必要に迫られた場合であっても、本人以外の人が引き出すとトラブルのもとになります。ですから名義人が亡くなったことがわかると、銀行は即座に口座を凍結し、相続手続きが完了するまでは、一切引き出すことができないようにするのです」
こう説明するのは、相続問題に詳しいファイナンシャルスタンダード代表取締役社長の福田猛氏だ。
問題は相続手続きが意外と手間取ることだ。
「遺産分割協議書を作成するには、相続人全員の実印が必要。中にはどうしても連絡が取れない人もいるかもしれません。仕事が多忙だったりして手続きが進まない場合もあるでしょう。また、遺言書を書いていないケースでは、どう分けるかで揉め、なかなか手続き完了に至らないこともあります」(福田氏、以下同)。
その間、亡くなった親のお金は使えず、周囲が立て替えたお金を清算することもできないわけだ。なんと解決までに7年かかったケースもあるという。
>>2に続く。
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父親が入院先で亡くなったのは昨日のことだ。臨終の枕元で泣き崩れる母親の背中をさすりつつ、鈴木ケンスケさんは「自分がしっかりしなければ」と必死に自らに言い聞かせた。さしあたって葬儀代はどうしよう。母親の生活費など、当座かかる費用もある。
「母さん、とりあえず、親父の通帳と印鑑を持って銀行に行ってきて。現金を引き出しておかなきゃ」
ところが、しばらくすると母親から携帯に連絡が入った。何やら慌てふためいている様子だ。
「ちょっと大変!お父さんのお金が引き出せないのよ。銀行の人がいうには、口座はしばらく凍結されるんですんって。ほかの口座もみんな使えないわ。いったいどうしたらいいの」
親父の口座が凍結!? 家族の大切な財布なのに!?――ケンスケさんは頭が真っ白になってしまった。
◆名義人の死を伝えてはいけない?
新聞死亡欄や人づてなどで名義人の死亡を知ると、銀行はただちに口座の凍結をおこなう。ケンスケさんのお母さんのように、家族が銀行窓口に行き、「名義人が亡くなったので、代りに私が預金を引き出したいのですが」などと言ってしまった場合も同じだ。
凍結が行われ、預金が動かせなくなると、あれこれやっかいな問題が生じることになる。生活費を引き出せないだけでなく、公共料金、家賃や駐車場代、ローンなどすべての引き落としがストップしてしまうのだ。そのまま滞納が続けば、電気やガスなどのインフラすら使えなくなる、という悲惨な事態に陥りかねない。
多額の出費を迫られることもある。斉藤ノリコさん(仮名・48歳)が慌てたのは、名義人が亡くなれば口座が凍結されることを、前もって知っていたからだった。
父親は1年前にガンを発症し入院していたが、ここのところ容態が急速に悪化している。医師から危篤を告げられたとき、混乱する頭の隅で考えたのは「医療費はどうしよう」ということだった。
なにしろ通帳や印鑑のありかもわからない。たとえ発見したとしても、口座が凍結されてしまえばお金を引き出せなくなってしまう。入院の連帯保証欄にはノリコさんの名を記入していたため、本人が支払えなければ、ノリコさん宛の請求書が届くことになる。
病院の会計係に問い合わせると、個室に入院していたこともあって、先月分だけで87万円かかっていた。今月分と合わせるといくらになるのか――。へそくりだけでは、とうてい支払い切れそうにない。
◆凍結解除に7年かかったケースも
家族が困ることをわかっていながら、銀行はなぜ口座を凍結してしまうのだろうか?
「預貯金は相続資産の一部。たとえ必要に迫られた場合であっても、本人以外の人が引き出すとトラブルのもとになります。ですから名義人が亡くなったことがわかると、銀行は即座に口座を凍結し、相続手続きが完了するまでは、一切引き出すことができないようにするのです」
こう説明するのは、相続問題に詳しいファイナンシャルスタンダード代表取締役社長の福田猛氏だ。
問題は相続手続きが意外と手間取ることだ。
「遺産分割協議書を作成するには、相続人全員の実印が必要。中にはどうしても連絡が取れない人もいるかもしれません。仕事が多忙だったりして手続きが進まない場合もあるでしょう。また、遺言書を書いていないケースでは、どう分けるかで揉め、なかなか手続き完了に至らないこともあります」(福田氏、以下同)。
その間、亡くなった親のお金は使えず、周囲が立て替えたお金を清算することもできないわけだ。なんと解決までに7年かかったケースもあるという。
>>2に続く。